こんにちは。院長の波木です。
最近、患者さんから「ブログ見てます」、
「特に音楽の話題を楽しみにしてます」と言われることが多くなりました。
読んで頂いている方が多いと思うと、記事を書くのも張り合いがあります。
読後の感想などを診療後などにお話し頂けると、嬉しいです。
さて、今回は
クラヴィコード、リュート、ピアノに続いての楽器紹介です。
チェンバロを実際に見る機会は、なかなか無いと思います。
しかし、日常なんとなく聞いているテレビのBGMや洋楽、
邦楽、ドラマや映画の劇伴などで耳にすることは非常に多い楽器なのです。
『 チェンバロ(イタリア語)は、
①弦を④プレクトラム(爪)で弾いて発音する鍵盤楽器の中の撥弦楽器。
英語ではハープシコード 、フランス語ではクラヴサンという。
現存する最古のチェンバロは、1480年頃に製作された
作者不明のクラヴィツィテリウム。
チェンバロは合奏の中で通奏低音を受け持つ
伴奏楽器として使われていたが、
17世紀から18世紀にかけて数多くのチェンバロのための
楽曲が作曲され黄金時代を迎えた。
18世紀の終わりから19世紀の初めにかけてフォルテピアノが一気に台頭し、
鍵盤楽器の王者の地位を追われるが、
20世紀に入ってからランドフスカによって見なおされ、
古楽の歴史考証的な演奏のために復興され、
現代音楽やポピュラー音楽でも用いられている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/チェンバロ#構造
チェンバロの音量は、打鍵(鍵盤を弾くこと)の
強弱によって変えることがほとんど出来ない。
しかし、チェンバロはレジスターと呼ばれる音色の選択機構によって、
音量、音色を段階的に切り替える事が可能である。
チェンバロの製作様式は大別するとイタリア式とフランス式に分けられる。
イタリアン・チェンバロの響きは明るく軽い。
イタリアン・チェンバロのほとんどは1段鍵盤で、
通常は2組のユニゾンの弦が張られている。
フレンチ・チェンバロは、ほとんどが2段鍵盤で、
下段は8フィートと4フィートの2組、
上段は8フィート弦1組が張られている。
フレンチ・チェンバロの音は、豊かで力強い。
チェンバロの鍵盤は、現代のピアノと同じくナチュラル・キーが白で
シャープ・キーが黒いが、フランスでは逆にナチュラル・キーが黒く
シャープ・キーが白い鍵盤が好まれた。
現代のピアノの「ラ(A)」を442~443Hzで調律されるのに対し、
チェンバロの音高はバロック時代のピッチ415Hzに調律されている。
(数字が大きいほど音が高くなる) 』
私が最初にチェンバロを生で聴いたのは、
1995年9月23日サントリーホールのコンサート。
リコーダーの巨匠ミカラ・ペトリの演奏会でした。
当時私は、チェンバロのために書かれた作品を
ピアノで演奏したCDをたくさん聴いていました。
例えば、グレン・グールド演奏のスカルラティのソナタ。
グールドのノンレガート奏法と曲調がすごく合っています。
この演奏と、巨匠ホロヴィッツのCDで、
スカルラティの魅力に気がつきました。
ドメニコ・スカルラティは、イタリアの作曲家で、
チェンバロ独奏用のソナタを540曲以上(総数は不明)書きました。
イタリアらしい明るい曲が多く、
特にトリルなどの装飾音に特徴があリます。
しかし、ピアノでの演奏をたくさん聴いた後に
チェンバロでの演奏に触れると
次第に疑問を抱くようになってきました。
どちらがスカルラティの楽曲を、作曲者の製作意図に沿って、
より魅力的に表現できているのか・・・
チェンバリストDavid Louieによるスカルラティ「Sonata in D minor K.9」
短調の曲ですから、
全体に物憂げな暗さがつきまとうのですが、
チェンバロの演奏だとその中に軽妙さが良い塩梅に混じる。
バッハ
「イタリア協奏曲(Italien Concerto) BWV971」第一楽章
Rafał Blechaczによるピアノ演奏
原題は「イタリア趣味によるコンチェルト」で、
バッハがヴィヴァルディをはじめとする
イタリアの作曲家や作風を意識して協奏曲用に作ったチェンバロ独奏曲。
ピアノで自分もやった曲なので、
ピアノ演奏で聴くことに違和感はないのですが、
これをチェンバロ演奏で聴くと、歯切れ良く、
軽やかで実にチャーミングに聞こえます。
植山けいさんの演奏は「チェンバロの日」というイベントで
聴いた事があります。
イタリアンチェンバロ
チェンバロは、楽器そのものの美しさも魅力です。
このチェンバロも、外枠、響板、屋根と華麗な装飾が施されています。
一台一台違う絵柄で、唯一無二の楽器となっています。
フレンチチェンバロ
フランスの作曲家ジャン=フィリップ・ラモーの「鳥のさえずり」
チェンバロの音をチチチという鳥のさえずりに見立てた曲。
チェンバロ作品には、ラモーのこの曲に限らず、鳥を題材にした曲が多い。
しかし、それらをピアノ演奏で聴くと、
鳥らしさはあまり感じられなくなります。
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チェンバロは、前述したように
昔も今もさまざまなジャンルで使われています。
「薔薇色のメヌエット」ポール・モーリア
「I’ll Be Back」Wes Montgomery
・ポール・モーリア「天使のセレナーデ」
・ポール・モーリア「恋はみずいろ」
・ポール・モーリア「オリーブの首飾り」
・アニメ「キャンディキャンディ」〜オープニングテーマ〜
・半沢直樹 ~Main Title~
・光る君へ
・木村カエラ「Butterfly」
・DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」
・The Beatles「Piggies」
・The Rolling Stones「In Another Land」
最後にバッハの
「4台のチェンバロのための協奏曲 BWV 1065」を。
4台のチェンバロ協奏曲を書いたのは、
音楽史上でバッハしかいません。
この曲の元曲は、
ヴィヴァルディの協奏曲集『調和の霊感 作品3』
「4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲ロ短調」で、
それをバッハがチェンバロ用に編曲したもの。
昔も今もチェンバロを4台揃える事さえ難しいのに、
それを調律し、かつ演奏者を集めることなど、
単独のコンサートではあり得ない事です。
この動画も、次の動画もいわゆるフェスでのもの。
チェンバロ演奏では、観客が舞台上で聴いているのが特徴的。
チェンバロの音量では、広いホール、
大規模のオケという編成ではバランスが悪くなります。
ピアノ演奏は、アルゲリッチ、キーシン、プレトニョフと巨匠が勢揃い。
この演奏は、今でも奇跡的イベントだと評されています。
最初にお話ししたように、現代の様々な音楽や効果音にも、
チェンバロは思いのほか使用されています。
そんな音を探しながら音楽を聴いたり、
テレビを見るのも面白いと思います。
過去に行ったチェンバロコンサート。
2014年5月5日 チェンバロの日 中村恵美 植山けい
2014年12月23日 津田ホール 小林道夫
2015年5月4日 ラフォルジュルネ 鈴木雅明 鈴木優人
2016年7月3日 チェンバロフェスティバル 曽根麻矢子 大塚直哉
渡邊順生 鈴木優人
2016年8月11日 かまがや木楽の家 松岡友子
2016年12月29日 近江楽堂 渡邊順生
2018年2月22日 東京文化会館小ホール ケネス・ワイス
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