ブログ

ご予約・お問い合わせはこちら

ブログBlog

ネット予約

チェンバロの曲

こんにちは。院長の波木です。

 

前回の記事で、チェンバロの歴史や構造、
クラシック界における楽器の立ち位置の変遷、
現在の音楽界における使われ方を簡単に説明しました。

 

ルネッサンス期からバロック期にかけて、
「鍵盤楽器の王」であったチェンバロ

 

そのチェンバロのために様々な作曲家によって、
たくさんの曲が書かれてきました。

 

今回は、チェンバロが鍵盤楽器の主役を担っていた
「ルネッサンス期〜バロック期」
バッハ以外の作曲家の曲を紹介したいと思います。

 

 

最初は、スウェーリンク
「Pavana Lachrimae(涙のパヴァーヌ)after Dowland 」
by Glen Wilson

 

スウェーリンク(jan pieterszoon sweelinck 1562年アムステルダム生)

 

ルネッサンス後期からバロック前期の作曲家・オルガニスト。

 

 

 

この曲は、当時大流行したイングランドの作曲家ダウランドの歌曲
「Pavana Lachrimae(涙のパヴァーヌ)」の編曲版。

 

儚く切ない、苦悩や悲哀を表した原曲の歌詞を投影したような曲調。

 

 

続いて、オランダのシブランドス・ファン・ノールド
(Sybrant van Noordt 1659-1705)
「Sonata A minor」by Bob van Asperen

 

 

題名がソナタとなっていますが、ソナタ形式ではありません。

 

シャコンヌやパッサカリアと言ったほうがいいかもしれません。

 

主題を次々に変奏していく即興性がこの作品の魅力になっています。

 

 

フランソワ・クープラン「恋の夜鳴きうぐいす(Le rossignol en amour)」
by Denis Bonenfant

 

 

フランス・バロックを代表する作曲家クープランは、
1668年にパリで生まれ、チェンバロのために200数曲を残しました。

 

そのいずれもが、
フランスならではの洒脱さとエスプリに満ちた作品となっています。

 

この曲の構成は、右手のメロディーラインに左手の伴奏という、
割りとオーソドックスな形です。

 

右手の装飾音がうぐいすのさえずりを想起させ、
日本でいう「ホーホケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ」
の部分が後半に出てきます。
ただ、「夜」の感じはあまりありません。

 

 

 

ジャン=フィリップ・ラモー(Jean-Philippe Rameau, 1683年生)は、
バロック時代のフランスの作曲家。
ラモー「ファンファリネット」by Olivier Baumont,

 

 

この曲は、新しいクラヴサン曲集第4組曲の第5曲。

 

ファンファリネットは、小さなファンファーレの意。

 

その名の通り、ちょっとした良いことがあった時の
心の高揚感を表すような可愛らしい曲。

 

 

ジャック・デュフリ
(Jacques Duphly 1715年生 フランスの作曲家
オルガン・チェンバロ奏者)

 

「ドゥ・ブロムブル ニ短調 (快活に)
La de Belombre (Vivement)」by Skip Sempe

 

 

出だしがインパクト大!

 

短調の曲にも関わらず、題名通りの快活さが表現されている。

 

 

続いて、J.S.バッハと同い年1685年生のドメニコ・スカルラティ

 

イタリアの有名な作曲家アレッサンドロ・スカルラティの子として生まれ、
礼拝堂の音楽監督を務めた後、スペインへ移住し、
チェンバロ独奏用のソナタを540曲以上作曲。

 

スカルラティの鍵盤楽器のための作品は
主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、
チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかは
はっきりしていない)
「Sonata K. 1 in D minor」by David Louie

 

 

(作品番号の頭の「K.」は
カークパトリック(によって付けられた)番号で、
K. 1から30のみが、生前に出版された。)

 

この曲は、右手の下降音型、3度の分散和音とトリル、
左手の伴奏音型の練習になっている。

 

短調の曲なので、全体を覆う憂いを感じつつ、
チェンバロ特有の乾いた音色が、暗さを消し去っている。

 

 

「Sonata K. 141 in D minor」by Jean Rondeau

 

 

右手の同音連打が印象的な曲。

 

スカルラティは、チェンバロという楽器の限界を超えたイメージを持って
この曲を作ったのかもしれない。

 

それ故か、この曲はピアノで演奏されることが多く、
マルタ・アルゲリッチやアレクサンドル・タローの
アンコールピースとしても有名。

 

シャン・ロンドーは、曲想や間の取り方が革新的で、
チェンバロの新たな可能性を示す演奏。

 

 

 

デュフリの「La Forqueray」by Falerno Ducande

 

 

 

ジャック・デュフリ(jacques duphly 1715年生)はフランスの作曲家、
オルガン・チェンバロ奏者。

 

この曲は、不思議な曲。

 

揺れ動く哀しげな単音旋律に伴奏部が絡みそうで絡まない。

 

弾き方によって微妙に明るさ暗さが変わってくる感じ。

 

 

最後は、ロワイエ(joseph-nicolas-pancrace royer 1705年頃生
フランスバロック音楽の作曲家、チェンバロ奏者)

 

「スキタイ人の行進(La Marche des Scythes)」

 

この曲は、バロック期のチェンバロ用楽曲の中にあって、
超絶技巧を要する難曲。

 

全編がアグレッシブで、鬼気迫るという例えがピタりとハマる曲。

 

実演は、植山けいさんの演奏で聴いています。

 

初めてその曲を聴いた時、何なんだこの荒々しい曲は!!
と感嘆した記憶があります。

 

 

巨匠スキップ・センぺの演奏で。

 

録音環境があまり良くないため、残響が被ってしまっているが、
それでもセンぺの技巧を目の当たりにできる演奏。

 

 

 

Jean Rondeauの演奏で。

 

センぺよりもさらに速い演奏。

 

ただ速いだけではなく、緩急を使い分けているところも素晴らしい。

 

チェンバロの魅力を余すことなく表現しきっている。

 

 

Yago Mahúgoによる演奏。

 

 

右手と左手のバランスが絶妙!

 

上段と下段の使い分けで、全体の流れをコントロールしている。

 

こういった違いは録音だけでは計り知れない。動画ならではの発見!!

 

 

Marco Mencoboniによる演奏。

 

スピードは無いが、リズミカルで、かつ味のある演奏。

 

 

前者に比べて遅いが、
しっかりとした技術に裏打ちされた演奏で、好感が持てる。

 

✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎  ✳︎

 

 

チェンバロ用(あるいはその時代の鍵盤楽器用)に書かれた楽曲を、
チェンバロで演奏した音源、いかがでしたか?

 

バロック期の、あるいはそれ以前のルネッサンス期の作曲家や
作品が再発掘され、演奏者がそれを取り上げ、
またその演奏を現代の人たちが聞く。

 

バロック期の作品を、
作曲時には無かったピアノで演奏する音源や録音も沢山あります。

 

ピアノ演奏で古い時代の良い曲を取り上げてくれたからこそ、今の、
チェンバロをはじめとする古楽器の存在意義が増しているのでしょう。

 

そんな背景も思い浮かべつつ、チェンバロの曲を聴くと、
また違う楽しみ方が出来るかもしれません。

 

<著名なチェンバリスト>

 

スコット・ロス、トレヴァー・ピノック、トン・コープマン、
ボブ・ファン・アスペレン、ピーター=ヤン・ベルダー、
グスタフ・レオンハルト、
クリストファー・ホグウッド、ケネス・ギルバート、
クリステアーヌ・ジャコッテ、
ヘルムート・ヴァルヒャ、アンドレアス・シュタイアー、
エディット・ピヒト=アクセンフェルト、
カール・リヒター、ピエール・アンタイ、
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ、オリヴィエ・ボーモン、
ワンダ・ランドフスカ、クリストフ・ルセ、
小林道夫、鈴木雅明、曽根麻矢子、中野振一郎、渡邊順生

 

<有望株>

 

ジャン・ロンドー、マハン・エスファハニ、
バンジャマン・アラール、ジュスタン・テイラー
大塚直哉、水永牧子、植山けい、鈴木優人、松岡友子

 

 

 

カノンデンタルクリニック
〒275-0011
千葉県習志野市大久保1-23-1 雷門ビル2F
TEL:047-403-3304
URL:https://www.canon-dc.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CTHgLGNJGZUXEAE

TEL
ネット予約