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ヴィヴァルディ〜バッハ

こんにちは。院長の波木です。

 

今回は、前回紹介したヴィヴァルディと、
音楽の父バッハの関係について書きました。

 

二人は、同時代に生まれたバロック時代の二大作曲家ですが、
ヴィヴァルディが 7 つ年上で、
その活動の場や作曲スタイルは、大きく違っていました。

 

前回書いたように、ヴィヴァルディはヴェネツィアを中心に活動し、
ヴァイオリンを主に使った明朗で快活な作品を作曲。
オペラ作曲家としても活躍しました。
ヨーロッパ中を旅行し、イタリアだけでなく、
名声と代表曲はヨーロッパに知れ渡っていました。

 

一方のバッハは、生涯ドイツから出ることはなく、
地方の教会音楽家として
オルガンを中心とした教会音楽(ミサ曲、カンタータ)を多数作曲。
対位法を主にした、厳格で重厚な音楽を作っていました。

 

 

バッハの生まれ故郷は、ドイツ中部のアイゼナハ。

 

そこから、リューネブルク→アルンシュタット→ヴァイマル→
ケーテン→ライプツィヒと移り住み、
ライプツィヒで亡くなっています。

 

 

バッハは、同時代のドイツ国内の作曲家ヘンデルや、
ブクステフーデ、ラインケンらの曲を聞く機会はあり、
影響を受けたり、作曲に反映させたりしています。

 

1708年バッハが23歳の時、
ヴァイマルの宮廷で ヴィルヘルム・エルンスト公の
宮廷オルガニストとなりました。

 

エルンスト公の甥ヨハン・エルンスト公子(1696-1715)は、
少年時代から非凡な楽才を発揮し、
1713年7月、 留学していたオランダから帰国しました。

 

アムステルダムで、公子はイタリアやフランスの音楽に触れ、
たくさんの楽譜を持ち帰りました。

 

公子は、それらをバッハに渡し、
オルガン用に編曲することを提案します。

 

これを機にバッハは、イタリアで流行している作風や形式を学び、
それ以降の作曲スタイルに多大な影響を受けたことは、
作品が物語っています。

 

作品数にして22曲。
そのうち10曲がヴィヴァルディの作品だったことから、
バッハがヴィヴァルディの協奏曲形式に心酔していた事がうかがえます。

 

 

編曲一覧

 

オルガン独奏曲
BWV592 協奏曲第1番 ト長調
原曲=J.エルンスト公 (クラヴィーア版 592a)
BWV593 協奏曲第2番 イ短調 原曲=ヴィヴァルディRV522 Op.3-8
BWV594 協奏曲第3番 ハ長調 原曲=ヴィヴァルディRV208 Op.7-11
BWV595 協奏曲第4番 ハ長調 原曲=J.エルンスト公
BWV596 協奏曲第5番 ニ短調 原曲=ヴィヴァルディRV565 Op.3-11
BWV597 協奏曲第6番 変ホ長調 原曲不明

 

クラヴィーア独奏曲
BWV972 協奏曲第1番 ニ長調 原曲=ヴィヴァルディRV230 Op.3-9
BWV973 協奏曲第2番 ト長調 原曲=ヴィヴァルディRV299 Op.7-8
BWV974 協奏曲第3番 ニ短調 原曲=マルチェッロ オーボエ協奏曲
BWV975 協奏曲第4番 ト短調 原曲=ヴィヴァルディRV316 Op.4-6
BWV976 協奏曲第5番 ハ長調 原曲=ヴィヴァルディRV265 Op.3-12
BWV977 協奏曲第6番 ハ長調 原曲=マルチェッロ?
BWV978 協奏曲第7番 ヘ長調 原曲=ヴィヴァルディRV31 Op.3-3
BWV979 協奏曲第8番 ロ短調 原曲=トレッリ
BWV980 協奏曲第9番 ト長調 原曲=ヴィヴァルディRV383a Op.4-1
BWV981 協奏曲第10番 ハ短調 原曲=マルチェッロ
BWV982 協奏曲第11番 変ロ長調 原曲=J.エルンスト公
BWV983 協奏曲第12番 ト短調 原曲不明
BWV984 協奏曲第13番 ハ長調 原曲=J.エルンスト公
BWV985 協奏曲第14番 ト短調 原曲=テレマン ヴァイオリン協奏曲
BWV986 協奏曲第15番 ト長調 原曲不明(テレマン?)
BWV987 協奏曲第16番 ニ短調 原曲=J.エルンスト公

 

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では、作品を紹介しましょう。

 

まずは前回も取り上げた
Vivaldi : ヴァイオリン協奏曲ニ長調
Violin Concerto in D major RV 230 Op.3-9

 

これを編曲した

 

Bach : Concerto BWV 972 in D major
アレグロ-ラルゲット-アレグロ

 

チェンバロ(by Richard Egarr)による演奏。

 

 

イタリアの乾いた空気と明るい曲調が、
チェンバロの音色とマッチして良い。

 

パイプオルガン(by 長田真実)による演奏。

 

 

バッハが超絶技巧のオルガニストであったことは有名で、
バッハオリジナルの多層的で重厚なオルガン曲には見られない
軽妙さが新しい。

 

シプリアン・カツァリスによるピアノ演奏で、第2楽章ラルゲット。

 

 

 

私が、バッハの編曲に着目するきっかけになったのが、
カツァリスのこのアルバム。
ドイツ国内で生涯を過ごしたバッハが、
音楽を通してイタリア旅行をしたというコンセプト。
チェンバロの演奏には見られない、奥行きのあるロマンティックな演奏。

 

Bach : Concerto BWV978 in F major (Vivaldi : RV 310 G major)
アレグロ-ラルゴ-アレグロ

 

Benjamin Alardによるチェンバロ演奏。

 

 

楽章のキャッチーな入りは、
バッハの後の作品に反映されているに違いない。
急・緩・急の3楽章(「リトルネッロ形式」)。
ラルゴを挟んでアレグロへ。
3楽章は、ヴィヴァルディが得意としているテーマを
繰り返していく形式に倣っている。

 

Bach : Concerto in A minor BWV593(Vivaldi : RV522 A minor)
アレグロ-アダージョ-アレグロ

 

 

原曲の溌剌とした感じがオルガンだと、ややもっさりして聞こえるが、
ヴァイオリンの立体感は、良くオルガンに移されている。
2楽章は、雲間から光がやっと一筋差しているような静寂。
3楽章は、複雑な構成。
低音から高音までフルに使ったオルガンの特性を把握している
バッハならではの編曲。

 

 

Bach : Concerto in D minor BWV596 (Vivaldi RV565 D minor)
アレグロ-アダージョ-フーガ-ラルゴ エ スピッカート-アレグロ

 

まずは原曲から。

 

 

ヴィヴァルディの曲としては、5つのパートからなる構成が異色。
低音を多用していて、全体的に重い曲調 。
3楽章でも、ヴァイオリンが主体ではあるが、曲想は物悲しい印象。

 

 

Van Doeselaarによるパイプオルガン演奏。

 

出だしからパイプオルガンの荘厳な感じが良く合う。
そして、1楽章の最後がいかにもオルガンのために作ったよう、
2楽章は、バッハ作品よりもバッハ的!!

 

この楽章は抜粋されてピアノ用に編曲されたりしている。
敬愛するピアニスト アンヌ・ケフェレックもよく演奏している。

 

 

楽章は、これを編曲だとは誰も思わないだろう・・・・という出来栄え。

 

Bach : Concerto in C major BWV594 (Vivaldi RV208a D major )
アレグロ-レチタティーヴォ-アレグロ

 

 

Balint Karosiによるパイプオルガン演奏。

 

ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 RV 208を編曲したもの。
オペラの序曲のような出だし。
トランペットを思わせる明るい響きが印象的。

 

Bach : Concerto in C Major BWV 976(Vivaldi RV265 Op.3-12 E major )
Tempo giusto-Largo-Allegro

 

 

Robert Hillによるチェンバロ演奏。

 

1楽章の明快で快活な感じはバッハのオリジナルには無い曲調。
3楽章では、メロディーと左手の伴奏が複雑に絡み合う。
バッハの編曲者としての技量が最大限に発揮されている。

 

 

珍しいクラヴィコードによる演奏。
決して綺麗な音ではないけれど、素朴で味わいのある演奏。
バッハは、普段遣いの楽器としてクラヴィコードを愛用していた。

 

最後にバッハオリジナルの イタリア協奏曲BWV 971 。
Bach:Italian Concerto BWV 971

 

 

 

Marco Mencoboniによるチェンバロ演奏。

 

734年ライプツィヒ時代に作られたこの作品は、
リトルネッロ形式による活発な2つの楽章の間に、
豊かな旋律声部とそれを支える単純な伴奏声部から成る
緩徐楽章が置かれています。
チェンバロ独奏用に作られたにもかかわらず、
「協奏曲」と付けられているのは、
ヴィヴァルディの協奏曲形式に倣って作曲されたからでしょう。

 

 

敬愛するピアニスト アンドラーシュ・シフの演奏で。
軽すぎず、重たくならず、絶妙な匙加減で音の奥行きを差配する。
曲の難易度としてはさほど高くないこの曲を、
高い完成度で表現するシフ。

 

バッハが音楽を通じて出会った異国の地。
言葉でも、絵でもなく、楽譜から感じ取ったイタリアやフランスが
ドイツの片田舎に住むバッハにとってどれほど刺激的だったか。。。
彼の編曲が、ただ習うのではなく、
彼なりの解釈と工夫をしてアウトプットしたからこそ、
オリジナルと間違われるほどのレベルの高さを保てたのでしょう。

 

 

 

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